従業員等がインボイス登録をしていない個人タクシーの領収書を会社との間で精算した場合、原則では消費税分を仕入税額控除できません。
しかし、しばらくは経過措置があるため、仕入税額相当額の一定割合を控除できます。
インボイス制度では、免税事業者や未登録の課税事業者等からはインボイスが交付されませんが、買手は経過措置を適用することで制度開始から6年間、仕入税額相当額の80%又は50%を控除できます。
例えば、従業員等がインボイス登録をしていない個人タクシー(免税事業者等)を利用して、代金を現金で支払って領収書を受け取ったとします。
従業員等が会社との間で精算する実費相当額はその領収書と帳簿の保存によって、経過措置を適用して最初の3年間は80%、その後の3年間は50%の控除が可能となります。
またその他に、請求書等の交付を受けることが困難などの理由から、一定事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる取引に、出張旅費等特例があります。
同特例では、従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当)が対象となります。
旅費規程等に基づく範囲の額であれば、会社は帳簿に“出張旅費等特例”などと記載して保存すれば全額を控除できます。
それ以外にも、一定規模以下の中小事業者については、インボイス開始後の6年間、税込1万円未満の課税仕入れにつき一定事項が記載された帳簿のみで仕入税額控除も認められます(少額特例)。
ただし、従業員等が法人クレジットカードでタクシー代を支払った場合は、会社と従業員等の間で金銭の授受が行われておらず、会社の銀行口座から費用が引き落とされるため、出張旅費等特例の対象とはなりません。
国税庁としては急激な増税を防ぐために、あの手この手を考えているのかもしれませんが、経理や会社などの当事者からすると1つの取引でいろいろなやり方や考え方があると、間違える元となると思っていないのでしょう。
間違えるいうリスクを回避するには、原則の方法を基本としながら、その他の例外も多少は頭の隅に置いておくという考え方の方が良いかもしれません。
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